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専門家としてのメディアの取材への対応について思うこと

by 安西敦

しばらく前に,性犯罪への捜査の問題について取材を受けてコメントした。その後,記事の案を送ってもらってチェックして,不正確なところを指摘し,理由を説明し,修正案を送った。こういう作業って時間も労力もかかるもの。なのに実際の記事には使われなかった…まあそういうこともある。

いろいろなところで,「取材を受けて説明したら意図と違う記事を書かれた,もうマスコミの取材は受けない!」と切れてる人たちをよく見る。弁護士でそういうことを言う人は結構多い。その気持ちはわからないでもない。私も過去にそういう目に遭っているから。

でも,専門家が発信しなければ,重大な問題であっても,それが社会に伝わらない。発信しないでおいて,こんなに大事な問題なのにみんなわかってない,って文句言ってもしかたない。

なので,めんどくさいこともあるけど,取材の申し込みがあったときは可能な範囲で対応してきたつもり。まあ,別に売れっ子な方々とは違って,取材なんてめったにないから,そんなこと言ってられるのかもしれないけど。

で,記者の人がまとめた文章が,こちらが説明した意図とずれることがあるのは,ある意味当然。
だって,ある専門家が長年かけて積み重ねてきたものを,予備知識なく30分で理解し,話し手のポイントをずらさず,しかも細部も正確に,短い文字数で,一回でまとめるなんてまねができる人が世の中にそんなにごろごろいるわけないのだから。私にはとてもできない。

そして,こっちは専門領域にどっぷり浸かりすぎてるから,相手がどこで誤解しがちなのか,どこから解きほぐせば相手が理解しやすいのかなんてわかってない。

だから,正確に伝えたければ,お互いにコミュニケーションを繰り返すしかないんじゃないかな。

…と思っています。記者の皆さん,弁護士とはうまくいかない場面も多いかもしれないけど,どうか懲りないでおつきあいください。きっと同じものを伝えたいとは思っているはずだから。


安西敦
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